余市蒸溜所の名を冠した「シングルモルト余市」が世に出たのは1989年。
その重厚で力強い味わいの秘密は、余市蒸溜所が操業を開始して以来、守り続けている「石炭直火蒸溜」にあります。 石炭火力による蒸溜は、余市蒸溜所でウイスキー造りがスタートした当初こそ主流でしたが、現在でも続けている蒸溜所は世界的にも少数派です。 その理由のひとつが、火力の調整が難しいこと。適切な火力を維持するには「熟練の技」が必要になります。
余市蒸溜所が、今もこの石炭直火蒸溜を続けているのは、単に伝統を守っているだけではありません。石炭火力ならではの香ばしさを生み出すために、あえて厳しい道を歩み続けているのです。 「余市」に込められたこだわりはそれだけではありません。バーボン樽やシェリー樽、新樽など、さまざまな樽を駆使して熟成させることで、多様な個性と魅力をもった原酒が生まれています。 それらが絶妙の配合でブレンドされることで、「余市」の豊かな味わいが生み出されているのです。
余市シリーズは豊富なラインナップを有していましたが、いわゆるエイジド品は2015年8月に全て終売となっており、現在はノンエイジ品のみの販売となっています。 終売が発表された際には、ウイスキーファンに非常に大きな衝撃を与えました。余市のモルト原酒には力強く重厚なコクがあります。 その力強さは木の個性が強く出てしまいがちな新樽で熟成をさせても負けることはありません。新樽ゆえのウッディな香りを纏いながらもしっかりと重厚感を残して、余市の個性的な味わいを愉しむ事ができます。