スペインワインの格付け
スペインのワインが規制されるようになったのは18世紀に入ってからです。
1920年代からはそれまでの規制基準がより強化され、原産地呼称制度と呼ばれる制度が確立しました。
最初に原産地呼称に指定されたのはスペインワインの中でも最も有名なリオハが指定されています。
1970年代には、原産地呼称庁が設立され、原産地呼称統制委員会(コンセホ・レグラドール)各原産地に設置され、2003年には新しいワイン法が施工され、ワインの格付けが新たに設定されました。
2009年からはEUワイン法が改定されることに伴い、さらに新たな原産地呼称が定められました。
格付けは、底辺から頂上まで6層に分かれたピラミッド型のイメージで表現されることが多いです。
この6段階に分かれた格付けをご紹介させていただきます。
ヴィノ・デ・パゴ
ピラミッドの頂点に位置する格付けが、単一ブドウ畑限定高級ワインのヴィノ・デ・パゴです。
ワインづくりに適した気候・土壌などのテロワールが突出した、限定された畑で生産されているため、個性が現れます。
デノミナシオン・デ・オリヘン・カリフィカーダ
ピラミッドの上から2段目に位置する格付けが、特選原産地呼称ワインのデノミナシオン・デ・オリヘン・カリフィカーダです。
特選原産地呼称ワインは、DOCa(デーオーセーアー)とも呼ばれており、原産地呼称ワインの認定から10年以上経過した中から厳しい基準で昇格が認められた高品質なワインのことを指します。
デノミナシオン・デ・オリヘン・カリフィカーダに格付けされているのは1991年にリオハ、2009年にプリオラートが指定されています。
デノミナシオン・デ・オリヘン
ピラミッドの上から3段目に位置するする格付けが、原産地呼称ワインのデノミナシオン・デ・オリヘンです。
許可されているブドウ品種を地域内で栽培されたブドウを使用して造られた上質なワインを指します。
2018年時点で76つ認定されており、スペインで生産されるワインの3分の2を占めているため中核的カテゴリーとなっています。
ヴィノ・デ・カリダ・コン・インディカシオン・へオグラフィカ
ピラミッドの上から4段目に位置するする格付けが、地域名称表示付きワインのヴィノ・デ・カリダ・コン・インディカシオン・へオグラフィカです。
2003年に新しくできた格付けで、ヴィノ・デ・カリダと省略して呼ばれることもあります。
特定の地域で収穫されたブドウを原料として醸造・熟成されたワインを指し、地域性が表現されたワインになります。
一部、デノミナシオン・デ・オリヘンの認定種を利用していないからという理由で昇格ができない品質の高いワインも存在しています。
この格付けで5年以上の実績を積んだ生産地は、ひとつ上の格付けの原産地呼称ワインへの昇格を申請することができます。
ビノ・デ・ラ・ティエラ
ピラミッドの上から5段目に位置するする格付けが、保護地理的表示のビノ・デ・ラ・ティエラで、地方ワインやカントリーワインのことを指します。
ビノ・デ・ラ・ティエラは、格付け名称のあとに町や郡や地方名が併記されたもので、地域名を冠したテーブルワイン的な存在であるともいえます。
フランスにおけるヴァン・ド・ペイにあたる位置づけで、使用される樽の容量は600リットルが上限となっています。
ビノ・デ・ラ・ティエラにはビニェードス・デ・エスパーニャが含まれます。
ビニェードス・デ・エスパーニャとは、2006年に安価な輸入ワインと区別するために設けられたカテゴリーです。
ガラス製の瓶だけではなく、バッグ・イン・ボックスに詰めることも可能なワインですが、一部の銘醸地域ではその使用が禁止されています。
保護地理的表示の上段には、保護原産地呼称、デノミナシオン・デ・オリヘン・プロテヒーダと呼ばれるカテゴリーがあります。保護原産地呼称のカテゴリーは、さらに4つの格付けに分類されます。
ビノ・デ・メサ
ピラミッドの底辺にあたる格付けとして、テーブルワインと呼ばれるカテゴリーがあります。
テーブルワインの格付けはビノ・デ・メサと呼ばれるもので、一般的に大量生産されるワインのことを指します。
ビノ・デ・メサは、格付けのない地域や畑で栽培されたブドウを使用、あるいは醸造所が域外にあったり、異なる地域や畑のワインをブレンドしてつくったワインの総称です。
ラベルには、地域名、ブドウ品種名、収穫年などの表示が一切認められていません。
スペインワインの年間生産量の75%を占めています。