イチローズモルトという名前を耳にしたことがあるでしょうか。
日本のウイスキー界に旋風を巻き起こし、世界中のコレクターが熱狂するジャパニーズウイスキーの頂点に君臨するブランドです。
2019年には香港のオークションで約1億円という驚異的な価格で落札され、その価値の高さが証明されました。
本記事では、なぜイチローズモルトがこれほどまでに人気なのか、その秘密を詳しく解説するとともに、入手困難な銘柄をランキング形式でご紹介します。
世界が熱狂する人気ウイスキー「イチローズモルト」とは?
イチローズモルトは、株式会社ベンチャーウイスキーが製造するジャパニーズウイスキーのブランドです。
創業者である肥土伊知郎(あくと いちろう)氏の波乱万丈な物語から、このブランドは誕生しました。
肥土氏の祖父が設立した東亜酒造が2000年に経営破綻した際、羽生蒸溜所にあった約400樽のウイスキー原酒が廃棄の危機に瀕しました。しかし肥土氏は、20年近く熟成させた原酒の価値を見出し、「貴重な原酒を捨ててしまうのはあまりにももったいない」という一心で自ら買い取ることを決意しました。
2004年に故郷の埼玉県秩父市でベンチャーウイスキー社を設立し、自身の名を冠した「イチローズモルト」ブランドを立ち上げました。当初は無名ブランドだったため、一般的な酒販店では相手にされませんでした。そこで肥土氏は味で評価してくれるバーテンダーに焦点を絞り、2年間で延べ2,000軒以上のバーを自ら訪問しました。
その個性的な味わいがプロフェッショナルたちの心を掴み、口コミで評判が広がりました。やがて国内外のコンテストで最高賞を次々と受賞し、世界中のウイスキー愛好家が熱狂するブランドへと成長を遂げたのです。
イチローズモルトの魅力について、さらに詳しい情報は以下のページでもご覧いただけます。
関連記事:「イチローズモルト買取」
秩父の風土が生む個性的な味わいとベンチャーウイスキーの哲学
創業者・肥土伊知郎氏の哲学は、日本の芸事の教え「守破離(しゅはり)」に根差しています。
まず先達の教え(スコッチウイスキーの伝統製法)を徹底的に学び、その型を「守る」ことから始め、基礎を固めた上で型を「破り」発展させ、最終的に型から「離れて」独自の個性を創造するという考え方です。
秩父の蒸溜所が持つ自然環境も、イチローズモルトの個性を形成する重要な要素です。盆地特有の激しい寒暖差により、樽の中のウイスキーの膨張と収縮が活発になり、熟成が早く進むという特徴があります。夏は40度近く、冬は氷点下まで気温が変化するこの環境が、樽材からの成分溶出や酸化・エステル化といった化学変化を促進させているのです。
さらに、世界でも極めて珍しいミズナラ(ジャパニーズオーク)製の発酵槽を使用しています。通常ミズナラは熟成樽に使われますが、発酵槽に用いることでミズナラを好む乳酸菌などの微生物が棲みつき、白檀や伽羅を思わせるオリエンタルな香りを生み出します。
この独特の製法こそが、ブランドの核となる個性を形成しています。
原材料へのこだわりも徹底しており、スコットランドやドイツ産の麦芽を使用しつつ、地元埼玉県産の二条大麦「彩の星」も採用しています。非常に手間のかかる伝統的な製法「フロアモルティング」を自社で行うなど、品質への追求に妥協はありません。
WWA最高賞受賞|世界が認めるジャパニーズウイスキーの評価
イチローズモルトの名声を不動のものとしたのが、世界で最も権威のあるウイスキーのコンペティション「ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)」での輝かしい受賞歴です。
2017年に「イチローズモルト 秩父ウイスキー祭2017」がシングルカスクシングルモルト部門で世界最高賞を受賞したことを皮切りに、その評価は世界的に確立されました。
特に「イチローズモルト&グレーン リミテッドエディション」シリーズは、2018年、2019年、2020年、2021年、そして2025年と、実に5回にわたり「ワールドベスト・ブレンデッドウイスキー・リミテッドリリース」部門の頂点に輝いています。
これは単一の優れたボトルを造るだけでなく、毎年継続して世界最高水準のブレンドを生み出し続ける卓越した技術力の証明に他なりません。2025年の受賞ボトルに対する審査員の評価コメントでは、「蜜蝋、レーズン、コーヒーといった香りの広がり方が素晴らしい。口当たりはクリーンで、マッシュルーム、落ち葉、白檀などの熟成ならではのニュアンスが感じられる」と絶賛されています。
このような世界的な評価は、イチローズモルトの価格を押し上げる直接的な要因となっており、単なる国内の人気ブランドではなく、世界中のコレクターが求めるグローバルな逸品としての地位を固めています。
【2025年10月】イチローズモルトウイスキーの人気ランキング
比較的手に入りやすい「一般流通品」と、入手が極めて困難な「限定品」に分けて、それぞれの人気ボトルをランキング形式でご紹介します。
香りや味わいの特徴、製造方法、そして現在の市場価格をまとめています。
一般流通品:イチローズモルト人気ランキング
一般流通品とは、正規取扱店や酒販店で定期的に入荷される銘柄を指します。
イチローズモルトの中では比較的入手しやすいカテゴリーですが、人気の高さから品薄状態が続いているのが現状です。
これらのボトルは、秩父蒸溜所と閉鎖された羽生蒸溜所の原酒を巧みにブレンドし、それぞれに異なる個性を持たせています。価格帯も4,000円台から11,000円と幅広く、初めてイチローズモルトを体験する方から、コレクターまで楽しめるラインナップとなっています。
1位:イチローズモルト リミテッドエディション
熟したプラムのまろやかな酸味と綿菓子のような軽やかな甘みが特徴的です。蜜りんご、重く甘い煙、バニラ、香ばしさも感じられる複雑なアロマが楽しめます。
秩父蒸溜所の原酒をキーモルトに、世界中から厳選したモルト原酒とグレーン原酒をブレンドし、ノンチルフィルタード製法で仕上げています。
定価は11,000円、市場価格は10,000円~20,000円前後で推移しています。
2位:イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ
白檀や伽羅を思わせるオリエンタルで高貴な和の香りが印象的です。チョコレート、干しぶどう、穏やかなスモーキーさが特徴となっています。
閉鎖された羽生蒸溜所の原酒をキーに、ピーテッドモルトなどをブレンド後、ミズナラ樽で後熟(マリッジ)させている逸品です。
定価は8,800円、市場価格は10,800円~15,000円前後となっています。JOYLABでの買取価格の相場は7,500円(2025年10月現在)です。
3位:イチローズモルト ワインウッドリザーブ
赤ワイン樽由来のベリー系の華やかな香り、ビターチョコレート、オレンジピールのエレガントでフルーティーな印象が魅力です。
赤ワインの熟成に使用されたフレンチオーク樽(マスカットベリーA、メルロー)で後熟し、ノンチルフィルタード、ノンカラーで仕上げています。
定価は8,800円、市場価格は9,000円~14,500円前後です。JOYLABでの買取価格の相場は6,500円です。
4位:イチローズモルト ダブルディスティラリーズ
青リンゴやわたあめのような優しく爽やかな甘みが特徴です。ハーブのような清涼感と、後から来るスパイシーさが心地よい味わいを演出します。
閉鎖された羽生蒸溜所のパンチョン樽を主体とした原酒と、秩父蒸溜所のミズナラ樽の若い原酒をブレンドしています。
定価は8,800円、市場価格は13,000円~18,000円前後で、JOYLABでの買取価格の相場は9,500円と定価を上回っています。
5位:イチローズモルト ホワイトラベル
オレンジピールのような甘苦さとバニラ、蜂蜜の香りが楽しめます。グレーン由来の甘みが主体で、ややスパイシーで軽快な飲み口が特徴です。
秩父の原酒をキーに、世界5大ウイスキーを含む海外原酒もブレンドした、多様性に富んだワールドブレンデッドウイスキーです。
定価は4,235円、市場価格は5,400円~6,800円前後となっています。
6位:イチローズモルト クラシカルエディション
クリーミーでフローラルな甘い香りが印象的です。ミズナラ由来のオリエンタルな味わいに、蜂蜜やトロピカルフルーツのニュアンスが加わります。
ホワイトラベルよりもモルト原酒の比率を高め、よりクラシカルで深みのある味わいを追求し、優しいスモーキーさも特徴となっています。
定価は7,700円、市場価格は7,000円~9,000円前後です。
限定品:イチローズモルト人気ランキング
限定品は、特定のイベントや記念日に合わせて少量生産される特別なボトルです。
生産本数が極めて少なく、発売と同時に完売することがほとんどで、市場価格は定価の数倍から数十倍に高騰することも珍しくありません。
これらの銘柄は、特別な原酒の使用や独自の熟成方法、限定的な流通経路など、希少性を高める要素が複合的に組み合わさっています。コレクターズアイテムとしての価値も高く、オークションでは驚くような高値で取引されることもあります。
1位:イチローズモルト カード ジョーカー モノクローム
閉鎖された羽生蒸溜所の1985年から2000年に蒸溜された原酒を使用した、トランプのカード54枚に見立てた伝説的シリーズの最終ボトルです。
モノクロとカラーの2種が存在し、生産本数が極めて少ないためコレクターズアイテムの頂点に君臨しています。市場価格は3,000,000円~3,500,000円以上で、オークション価格は常に変動しています。
イチローズモルトカードシリーズの詳細については、こちらのページもご参照ください。
関連記事:「イチローズモルト カードシリーズ」
2位:イチローズモルト ザ・ファイナルビンテージ・オブ・羽生
2000年に稼働を停止した羽生蒸溜所、その最後の年に蒸溜された原酒のみを使用したメモリアルなボトルです。
「失われた蒸溜所」への郷愁が、その価値をさらに高めています。市場価格は100,000円~400,000円以上で取引されています。
3位:イチローズモルト&グレーン ブレンデッドウイスキー リミテッドエディション2024
WWA受賞常連シリーズの最新版で、限定500本、定価242,000円という超高級ボトルです。
主に高級飲食店向けに出荷され、一般市場にはほとんど流通しないため、極めて希少性が高いボトルとなっています。市場価格は250,000円以上で推移しています。
4位:イチローズモルト 秩父 オン・ザ・ウェイ フロアモルテッド 2024
2008年の操業当時から蒸溜所スタッフ自らが英国で手掛けたフロアモルティング麦芽のみを使用しています。
蒸溜所のこれまでの歩み(On The Way)を体現する一本で、限定12,000本のリリースです。市場価格は32,000円~50,000円前後となっています。
5位:イチローズモルト 秩父ウイスキー祭限定ボトル(2022年版など)
毎年2月に開催される「秩父ウイスキー祭」の参加者の中から、さらに抽選に当選しなければ購入できない、まさに幻の限定品です。
毎年スペックが異なっており、熱心なコレクターにとって魅力的なアイテムとなっています。市場価格は50,000円~300,000円以上で、年代により大きく変動します。
6位:イチローズモルト 秩父 モルト ドリームカスク
特定の酒販店やプライベートカスクとしてボトリングされるシリーズです。
樽の個性がダイレクトに反映されるシングルカスクが多く、一本一本が唯一無二の存在となっています。市場価格は150,000円以上で取引されています。
7位:イチローズモルト&グレーン ワールドブレンデッドダブル・ファンタジー プレミアムホワイト
特定のイベントや店舗向けにリリースされる限定品です。
ユニークなブレンドコンセプトやラベルデザインが特徴で、コレクション性が高いボトルとなっています。市場価格は80,000円以上となっています。
イチローズモルト以外の国産ウイスキー
イチローズモルトの独自性を理解するために、他の主要な国産ウイスキーとの比較も重要です。
各ブランドが持つ個性的な特徴をご紹介します。
山崎|日本を代表するシングルモルトの最高峰
日本初のモルトウイスキー蒸溜所として誕生した山崎は、サントリー創業者・鳥井信治郎の「日本人の繊細な味覚に合ったウイスキー」という哲学を体現しています。
ミズナラ樽とワイン樽が生む複雑で華やかな香りと甘みが特徴で、世界的にも高い評価を受けています。熟成年数の長いものは特に希少価値が高く、コレクターズアイテムとしても人気です。
定番の山崎シングルモルトは市場価格が11,400円~21,300円前後で推移しており、入手困難な状況が続いています。
響|ブレンド技術が生む華やかで調和のとれた味わい
日本の四季を表現する、サントリーのブレンデッドウイスキーの最高峰である響は、多彩な原酒を完璧な調和へと導く、世界最高峰のブレンド技術の結晶です。
24面カットのボトルデザインも美しく、贈答品としても人気が高い銘柄となっています。
響JAPANESE HARMONYの市場価格は10,100円~12,800円前後で、比較的安定した価格帯で流通しています。
白州|清々しい森の香りと軽やかな飲み口
「森の蒸溜所」で造られるシングルモルトの白州は、南アルプスの天然水由来の清々しい香りと、軽やかですっきりとした味わいが特徴です。
爽快な飲み口が人気で、ハイボールにしても美味しく楽しめるウイスキーとして知られています。
定番の白州シングルモルトは市場価格10,600円~13,800円前後となっており、山崎と同様に品薄状態が続いています。
竹鶴|ニッカの歴史を体現するピュアモルトの名品
竹鶴は「日本のウイスキーの父」竹鶴政孝の名を冠すピュアモルトです。
ニッカウヰスキーが誇る、力強い余市と華やかな宮城峡の個性の異なるモルトを精緻にブレンドし、飲みやすさと複雑さを両立させています。スコットランドで学んだ本格的な製法を日本で実現した、歴史的にも重要な銘柄です。
竹鶴ピュアモルトの市場価格は7,700円~10,500円前後で、サントリー製品と比較すると入手しやすい価格帯となっています。
余市|石炭直火蒸留が生む重厚で力強い風味
ニッカウヰスキーの原点である余市は、伝統の「石炭直火蒸留」が生み出す、力強く重厚でピーティー、そして潮風を感じさせるソルティな風味が特徴です。
スコットランドの伝統的な製法を今も守り続ける、稀有な蒸溜所として世界的にも注目されています。
余市シングルモルトの市場価格は6,100円~7,500円前後と、今回ご紹介した銘柄の中では最も手頃な価格帯で流通しています。
人気ランキングでも上位のイチローズモルトを購入する5つの方法
これほどまでに魅力的なイチローズモルトですが、その入手は極めて困難です。
主な購入方法とその難易度を詳しく見ていきましょう。
購入方法① 百貨店・専門店
伊勢丹、三越、高島屋、近鉄百貨店などの大手百貨店では、不定期にイチローズモルトの入荷があります。
入荷告知は数日前に行われ、即日完売または抽選販売となることがほとんどです。
成功率を上げるためには、各百貨店の会員登録とメールマガジン購読が必須です。特に上顧客向けの優先案内があるため、日頃から百貨店での購入実績を積み重ねることも重要となります。ただし、抽選倍率は高くなることも珍しくありません。
購入方法② オンラインショップ
お酒買取専門店JOYLABのオンラインショップは、イチローズモルトを購入できる穴場的な存在です。
買取で仕入れた良質なボトルを、適正な市場価格で販売しています。
定価での購入は難しいものの、市場から姿を消した希少なボトルに出会えるチャンスがあります。JOYLABは専門の鑑定士が品質管理を徹底しており、偽物の心配もありません。
新入荷情報をこまめにチェックすることで、お目当ての銘柄を見つけられる可能性が高まります。
購入方法③ 抽選販売
大手酒販店やオンラインショップでは、専用アプリやWebサイトで抽選販売を実施しています。
応募は無料ですが、当選確率は低いのが現実です。
それでも諦めずに複数の抽選に応募し続けることが大切です。抽選情報は各店舗のSNSやメールマガジンで告知されるため、フォローや登録をしておきましょう。当選のコツは、人気の低い銘柄も含めて幅広く応募することです。
購入方法④ ウイスキーイベント
毎年2月の「秩父ウイスキー祭」や、東京・大阪で開催される「ウイスキーフェスティバル」では、限定ボトルの販売があります。
しかし、イベントチケット自体が即完売、ボトル購入権も抽選という二重の関門が待ち受けています。
イベント参加のメリットは、試飲できることと、イベント限定ボトルが手に入る可能性があることです。チケット発売日時を事前に確認し、発売開始と同時にアクセスすることが成功の鍵となります。
購入方法⑤ 蒸溜所
残念ながら、秩父蒸溜所では現在一般見学を受け付けておらず、直売所も設置されていません。
蒸溜所での直接購入は現時点では不可能です。
将来的には見学ツアーの再開や直売所の設置も期待されていますが、具体的な時期は未定です。最新情報はベンチャーウイスキーの公式サイトやSNSで確認することをおすすめします。
人気ランキングを参考に、イチローズモルトの取引はJOY LAB(ジョイラボ)で!
これまで見てきたように、イチローズモルトは創業者・肥土伊知郎氏の情熱と秩父の自然、そして世界的な評価によって、そのブランド価値を確立してきました。
特にランキング上位の限定品は入手が極めて困難であり、その価格は時に投機的なレベルまで高騰を続けています。
もしご自宅のキャビネットやセラーに、飲む機会を逸したイチローズモルトが眠っているとしたら、それはもはや単なるお酒ではなく、大きな価値を持つ資産と言えるかもしれません。その真の価値を確かめるために、まずは専門知識豊富なJOYLABの無料査定を試してみてはいかがでしょうか。
JOYLABでは、ダブルディスティラリーズを9,500円(2025年10月現在)、ミズナラウッドリザーブを7,500円といった高価買取を実施しています。市場価値を正確に反映した適正な査定額をご提示いたします。
イチローズモルトの価値は今後も上昇が期待されており、所有しているボトルがどれだけの価値を持つのか、一度確認してみる価値は十分にあります。コレクションの整理や新たなボトル購入の資金として、お持ちのイチローズモルトを現金化するという選択肢も賢明な判断と言えるでしょう。
ウイスキーの査定経験豊富なスタッフが、一本一本の価値を正確に評価いたします。お気軽にJOYLABまでご相談ください。