ラム酒の種類
4大スピリッツの1つラム酒はサトウキビを原料とした甘い香りのお酒です。ラム酒そのものを楽しむのはもちろん、お菓子作りやアイスにかけたりドライフルーツ漬けにしたりと用途も広いです。 そんなラム酒は種類も豊富で、色も透明なものから濃い褐色をしたものまでさまざまです。香りや製法の違いもあります。ここでは、そんなラム酒の種類や特徴を見ていきたいと思います。
風味
ラム酒を風味で分けると製造法などの違いから3種類に分けられます。
ライトタイプ
ライトタイプのラム酒は、ゴールドラムやホワイトラムです。熟成期間が短いため、やさしくやわらかな口当たりと軽い香りが特徴です。クセがほぼ感じられないので飲みやすいです。 モラセスと水を純粋酵母発酵させ、連続式蒸留器を使用、できた蒸留酒をホワイトオーク樽やタンクで短期熟成したのがゴールドラムで、その後、活性炭でろ過処理したのがホワイトラムとなります。 ライトタイプのラム酒はカクテルのベースにも向きます。キューバ産、プエルトリコ産が多いです。
ヘビータイプ
ヘビータイプのラム酒はダークラムです。色も味も濃いのが特徴です。じっくりと楽しみたいタイプのラム酒です。 モラセスを自然発酵させ、単式蒸留器を使用、蒸留後に内面を焦がしたオーク樽で熟成させます。3年以上熟成させたのがダークラムになります。 エタノール以外の副生成分を多く含むことで、風味が強く褐色をしています。ジャマイカ産、トリニダード トバゴ産が多いです。
ミディアムタイプ
ミディアムタイプは、ヘビータイプとライトタイプの中間で、淡い色合いと軽い香りのバランスよいラム酒です。製造方法が2つあります。 ヘビータイプ同様、モラセスを自然発酵させ醸造酒を作り、蒸留は、銘柄によって連続式蒸留器もしくは単式蒸留器を使用します。 もう1つは、ヘビータイプのラム酒とライトタイプのラム酒をブレンドする方法です。 ヘビーラムはクセが強すぎる、ライトラムでは物足りない、そんな方におすすめです。 フランスの海外県、マルティニーク島産やグアドループ島産が有名です。
フレーバーラム(スパイストラム)
風味で種類分けすると上述の3種類になりますが、ラム酒自体にスパイスやバニラなどを添加したフレーバーラムという種類もあります。 スパイストラムとも呼ばれています。香辛料を加えることで味わいに変化が生まれたり、アルコール度数も低くなり飲みやすくなっています。代表的な銘柄は「キャプテンモルガン」です。
色
ラム酒は色での種類分けも3つに分けられます。色の違いによって味わいや香り、楽しみ方も違ってきます。
ゴールドラム
アンバーラムとも呼ばれるゴールドラムはその名のとおり輝くゴールドカラーをしています。 樽熟成されることによる色合いと豊かな香りが特徴です。ゴールドラムには着色料添加のものもあります。 ホワイトラムとダークラムの中間に位置するバランスのよいラム酒です。 カラメルのような甘さと香りがちょうどよく、ストレートでもおいしいですが、カクテルにもおすすめです。お菓子作りにも使われます。
ホワイトラム
シルバーラムとも呼ばれるホワイトラムは、活性炭を使ってろ過して造られます。 その名のとおり淡い色合い、香りもひかえめです。クセもないのでモヒートやダイキリなど、カクテルに使われることも多いです。 すっきりした味が好きな方やラム酒初心者にもおすすめです。
ダークラム
ダークラムは、その名のとおり濃い褐色をしています。 樽熟成はゴールドラムと同じですが、熟成期間を3年以上とっているので、味も香りもクセも強くなっています。 ガツンとクセのあるラム酒を飲みたいときにおすすめです。またこの強いクセは大人味の製菓やカクテルにも向きます。
醸造原料
ラム酒は、醸造酒を蒸留したのち熟成させますが、原料によって2つの製造方法があります。
インダストリアル製法(インダストリアルラム)
サトウキビから砂糖を精製するときに出るのがモラセス(廃糖蜜)です。 このモラセスを原料として造られたのがインダストリアルラム(工業ラム)です。 ラム酒の一般的な製法はこのインダストリアル製法で、現在造られているラム酒の98%以上にあたります。 貯蔵可能なモラセスは、サトウキビの収穫時期を待たずに通年で製造が可能です。製造効率もよいので多くのラム酒製造に取り入れられました。
アグリコール製法(アグリコールラム)
サトウキビのしぼり汁を原料にしたラム酒がアグリコールラム(農業ラム)です。 サトウキビは収穫するとすぐに風味が落ち始めるのでサトウキビの栽培地近くに工場が必要です。 また一年に一度、サトウキビの収穫時期にしか醸造酒製造ができません。場所と時期を選ぶ製造法といえます。 しかしそのため、産地や、その年のみの唯一無二のラム酒が楽しめます。生産量の少ない稀少なラム酒です。 製造方法の歴史としては、インダストリアル製法よりも新しいです。じっくりと楽しみたいタイプのラム酒です。
ラム酒を使用したカクテル
モヒート
モヒートはキューバのハバナが発祥のカクテルです。 文豪ヘミングウェイが愛飲したことでも知られています。 材料:ラム酒、ライム、ミント、砂糖、ソーダ
XYZ(エックスワイジー)
XYZはアルファベットの最後の3文字です。 このことから「これ以上のものはない、最高のカクテル」という意味が込められています。 材料:ラム酒、ホワイトキュラソー、レモンジュース
ダイキリ
ダイキリはキューバにある鉱山が由来となっています。 このダイキリ鉱山で働いていたジェニングス・コックスが、ラムにライム、砂糖、氷を入れて作ったのが始まりとされています。 材料:ラム酒、ライムジュース、砂糖
マイタイ
マイタイはトロピカルカクテルの女王と言われており、ハワイを代表するカクテルですが、サンフランシスコ発祥です。 マイタイはタヒチ語で”最高”という意味です。 材料:ラム酒、ホワイトキュラソー、パイナップルジュース、オレンジジュース、レモンジュース
ピニャ・コラーダ
ピニャ・コラーダはスペイン語で「うらごししたパイナップル」という意味です。 材料:ラム酒、ココナッツミルク、パイナップルジュース
クレオパトラ
古代エジプトのファラオ「クレオパトラ7世」をモチーフに名づけられました。 クレオパトラは楊貴妃・小野小町と3人で「世界三大美女」と呼ばれています。 材料:ラム、クレームドモカ、生クリーム
キューバリブレ(ラムコーク)
スペインからのキューバ独立戦争の際に生まれたカクテルです。 材料:ラム酒、ライム、コーラ
スパニッシュタウン
ほぼラムのストレートでオレンジキュラソーが風味付けになっています。 材料:ホワイトラム、オレンジキュラソー
プラチナブロンド
プラチナブロンドは銀白色の髪の女性をイメージしたカクテルです 材料:ホワイトラム、ホワイトキュラソー、生クリーム
キューバン・スクリュー
キューバン・スクリューはラム酒がキューバで愛飲されているお酒なので、「キューバのスクリュー・ドライバー」という意味を込めて「キューバン・スクリュー」と名づけられました。 材料:ホワイトラム、オレンジジュース
ホットバタードラム
欧米では風邪気味のときに飲むカクテルとしても親しまれています。 材料:ラム酒、角砂糖、バター、熱湯
キングストン
ジャマイカの首都名「キングストン」が由来となっています。 材料:ラム酒、ホワイトキュラソー、レモンジュース、グレナデンシロップ
アンダルシア
アンダルシアは、南スペイン8県の総称のアンダルシア地方をイメージしたカクテルです。 材料:ドライシェリー、ブランデー、ホワイトラム